高校生にとって、大学の学部選びは志望校を選ぶのと同じくらい大切です。でも、実際にどんな学部があるのかや、そこで何を勉強しているのか、知らない人は多いですよね。
以前、僕が勤めていた塾でも、次のような質問をたくさんされました。
そこで、この記事では大学の学部のざっくりとした紹介と、どういう風に学部を選べば良いかということを説明したいと思います。
結論から言うと、学部選びで重要なポイントは次の3つです。
- 授業の内容の面白さ・学部の忙しさ
- 就職に有利かどうか
- 入試の難易度が適切かどうか
ちょっと長くなってしまいましたが、最後まで読んでもらえればしっかりと理解できると思うので頑張って読んでみてください!
目次(クリックでジャンプ)
文系の学部をそれぞれ紹介
まずは、文系の学部にはどんな種類があるのかをそれぞれ紹介したいと思います。文系の学部は、全部でだいたい5つくらいに分けることができます。
法学部
法学部は、憲法や民法などのさまざまな法律について勉強する学部です。中学や高校で法律のことを学んだ人もいるかと思いますが、それをより詳しく学ぶことができます。
法律の内容を暗記するだけでなく、実際にどんな事件が起きて、どういった法律が適用されるのか、という事例を多く勉強することになります。
法学部と聞くと、「弁護士や警察官などの専門家になりたい人が行く学部」と言うイメージが強い人も多いかもしれませんが、実際はそんなことはありません。むしろそういう人は少数派で、法学部の卒業生は国家公務員や民間の企業に就職する人がほとんどです。
また、法学部は「融通が効かない」、頑固な人が多いという噂も耳にしますが、そこまで堅苦しい学部ということもありません。ただ、堅実な人や真面目な人が多いという印象はあります。
弁護士や司法書士になりたい人
公務員など堅実な職種につきたい人
法律やルールなどを詳しく学んでみたい人
経済学部
文系の学部の中で最も生徒数が多く、また人気のある学部です。経済学部の他に「経営学部」がある学校もあります。
経済学部では、ざっくりと言うと「お金とモノの動き」について勉強することになります。例えば需要と供給のバランスの話だったり、給料や失業率の話だったり、企業の経営判断の話だったりです。
経済学部は人の数が多いので一概には言えませんが、多くの人は就職や将来の自分の人生のために勉強していると思います。実際、経済学部の就職事情は他の学部に比べても良いようです。
ただ、経済学部は数字を扱うことが多く、文系の中で一番「数学」を勉強することになります。数学をもう二度とやりたくないという人は選ばないほうが無難かもしれません。
- 金融機関や企業へ就職を考えている人
- 世の中のお金の仕組みについて知りたい人
- 数学に抵抗がない人
文学部
文学部は、文学や哲学、心理学など幅広い分野にまたがっています。実際、「経済学・法学以外のすべてのことが文学部でできる」という学校も多いようです。
高校までの勉強の範囲で言えば、国語、倫理、歴史あたりがメインになります。国語が好きだったという人や歴史をもっと専門的に勉強したいという人が多く所属しています。
また、勉強できる分野が幅広いので、自分のやりたいことができる学部とも言われています。
もちろん、本を読むことが好きな人にもおすすめできますが、文学研究は読書とは違うので、それで戸惑う人も少なくありません。文学部に興味がある人は、ぜひ文学部出身の先生や先輩などに話を聞いてみると良いでしょう!
- 本が好きな人
- 哲学や歴史などに興味がある人
- 自分が興味の持てることについて探求したい人
教育学部
教育学部は、主に教育とは何かという根本的なことから、実際に先生のことをするような授業まで幅広くあります。
多くの人は先生になったり教育機関に所属することを目標としていますが、企業に勤めたり研究者になったりする人も多くいます。公務員になる人も比較的多いです。
国公立大学に設置されていることが多いのが特徴で、卒業と同時に児童指導員任用資格や教育職員免許を取得する人が多いようです。資格を取ろうとするとちょっと忙しい学部、というイメージがあります。
- 学校が好きな人、先生になりたい人
- 手に職をつけたい人、教育関係の資格を取りたい人
外国語学部
外国語学部は、外国語を話したり書いたりする能力を身につける学部です。多くの人が、外国語を身につけたり海外の文化を学んだりするために所属しています。
きちんと学べば、卒業時には外国語を複数喋れるようになっているのはもちろん、グローバルで活躍できる教養なども身につけているかもしれません。
卒業生は、語学力やコミュニケーション能力を活かして商社や外資系の会社に勤めることが多いようです。実際に海外で仕事をする人や英語の先生になる人など多岐にわたっています。
入学生、卒業生に共通するのは、人と話したりするのが好きだったり海外の文章を読んでみたいなど、とにかく「何かやりたいこと」がある人が多いような印象です。
学校によっては海外留学や短期留学などが必須だったり単位として認められたりするので気になる人は学校ごとに詳しく調べてみましょう!
- 将来はグローバルに働きたい人
- 通訳や翻訳、外交官などやりたいことがある人
- 語学を学ぶのに抵抗がない人
以上が、文系の学部のそれぞれの説明でした。以上のことを頭に入れて、次の3つのポイントを読むようにしてみてください!
就職に有利な学部はどこ?
それでは、まず1つ目のポイントは「就職に有利かどうか」です。中学生・高校生の人はもちろん気になると思います。
結論から言えば、「何になりたいかによってちがう」ということです。具体的に、資格がいる職業といらない職業に分かれて見て行きます。
特定の学部に入ると取りやすい資格
特定の学部に入ると、専門に関する資格を取りやすくなります。資格があれば、就職に有利に働くことは間違いないようです。
このうち、例えば弁護士など特定の学部に入らないと就けない職種と、教師のように専門の学部以外でもなれちゃう職業が分かれます。
学部 | 資格 | 他の学部でも取れる? |
経済学部 | 税理士 | 難しい |
簿記 | 簡単に取れる | |
中小企業診断士 | 難しい | |
法学部 | 弁護士 | 難しい |
税理士 | 難しい | |
司法書士 | 難しい | |
国際学部 | TOEIC, TOEFL | 簡単に取れる |
教育学部 | 教員免許資格 | 取れるが忙しくなる |
資格はいらないけれど専門性が求められる職業
マスコミや新聞記者などは、社会学部に属していれば有利と言えるでしょう。
このように、専門性を持っていれば就職に有利に働いたり、働き始めてから勉強することがグッと減ったりする職業があります。
具体例としては、次のような感じです。
マスコミ, テレビ関係 | 社会情勢、経済など |
---|---|
事務 | 簿記、経済など |
人事 | 組織管理や倫理など |
マーケティング | 経済系、経営系 |
とはいえ、仕事についてからは学校では習わないようなことを多く勉強することになるので、大学時代に大きな差がつくかと言われればそこまで心配する必要はありません。
個人的には、それよりも今やりたいことや、将来のだいたいのイメージに沿った学部を選んでみたら良いのではと思います。
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授業内容が面白い?忙しい?
続いて、授業内容や忙しさについてです。大学では勉強の他にサークルやアルバイトをする人も多いと思います。
自由な時間や専門以外のことに割くことができる時間がどのくらいあるか、というのは重要なポイントだと思います。
まず、授業内容に関しては人によると思います。例えば高校でも国語が面白いと思う人とつまらないと思う人がいるように、人によって違います。
だから、授業内容が面白い学部を探すというよりは、「今自分が何が面白いと思っているか」で決めると良いと思います。例えば倫理が好きなら文学部を中心に調べてみる、という感じです。
また、忙しさについては学部によって異なるというよりは大学によっての違いが大きそうです。
注意して欲しいのは、単に「偏差値が高い大学が忙しい」とは限らないということです。
偏差値が高くても、課題が少なかったり、逆に、入学するのは簡単でも卒業するのが大変という大学もあります。
気になった大学は、先輩の話を聞いてあらかじめ情報を仕入れておくと良いでしょう。
入試の難易度は高い?入れそう?
最後のポイントは、ズバリ「入学難易度」です。
正直、学部はどこでも良いという人は多いと思います。確かに、ある程度はやりたいことはあっても、具体的にこれがしたいという確固たる目標がある人は少ないですよね。
そんな人におすすめなのが、偏差値の高い大学の、入りやすい学部に入ってしまうことです。
実際、僕の友達は早慶に行けるような成績ではなかったのですが、「比較的入りやすい」と呼ばれる学部に入学することができました。今では誰もが知る有名企業に就職しています。
もちろん、その人が頑張ったということが大きな要因なのですが、有名大学に入れるのならという彼の作戦がうまかったとも言えます。
大学によって学部の偏差値がかなり違うこともあるので、「あそこは無理だな…」と諦める前にきちんと調べてみることをおすすめします。
また、ちょっと手が届きそうにないような大学でも、勉強の仕方を帰るだけでグッと合格に近づくこともできます。このサイトではそんな勉強のやり方をじっくりと解説しているので、ぜひ他の記事も読んでみてください!
学部選びでよくある失敗の声をまとめてみた
それでは最後に、学部選びで失敗した!というみんなの声を集めてみました。ぜひ参考にしてみてみてください!
大学生活自体は楽しいこといっぱいあったけど、社会に出て経済学一ミリも役にやってないので、完全に学部選びは失敗してる
— 所謂。 (@strat_haibane) December 16, 2020
まず多い失敗は、社会にでて全く役に立っていないというケースです。もちろん、大学の勉強というのは社会に出て役に立つためだけにやっているわけではないので必ずしも失敗ということはないと思います。
でも、大学の勉強と仕事とが結びついていればそれはそれで嬉しいですよね。やりたいことが決まっている人はそれと関係のある学部を選んでみてはいかがでしょうか?
いわゆる受験失敗組なので、学部、学科の内容にそこまで興味のない人が集まり、だらだら課題をこなす。
本来自分から学びに行く必要があるんだけど、自身も周囲もそんな感じだから、他大との意識差や、知識の差に気づかず、ただその場凌ぎで課題とテスト勉強だけして、あとは内容をさっぱり忘れる。— reed (@reed77734548) December 12, 2020
リアルな声としてあるのは、こんなツイートです。いわゆる滑り止めで入った学部に愛着が持てなかったり、興味がなかったりするパターン。
滑り止めや第二志望なども学部からしっかりと選ぶようにしたいですね!
私、大学の学部を消去法で選んだけど、真っ先に文学部を消去したの、結構失敗だったなと最近感じる
— きりん🌈 (@kilin__blst) December 10, 2020
最後は「決めつけで選んでしまったパターン」です。最初から「これは違うかな?」などと思わないで、一度全ての学部をしっかりと調べてみて、それから選んでみると新しい可能性が 開けるかもしれません!
終わりに:3つのポイントをそれぞれ検討しよう
以上が文系でおすすめしたい学部の選び方でした。死亡する学部のイメージは固まってきたでしょうか?
もう一度まとめると、
- 特定の資格など、就職する際に有利に働くかどうか
- 勉強する内容が面白そうかどうか
- 学部の難易度は自分に適切か
をしっかりと調べて検討することが大切です。大学生活を送る上で学部選びはかなり重要なポイントになってくるので、ぜひ参考にしてみてください!
また、志望する大学をまだ決めてない人は、こちらの記事を参考にしてぜひ決めてみてください!