このブログでは、受験生に役立つ知識をモリモリ更新しているのですが、理系科目の中で質問が多い科目といえば… そう「化学」です。
実は、物理・化学・生物・地学という理系科目の中で、選択している人が圧倒的に多いのが、「化学」なんです。
なので、化学に関しては勉強法に関する質問がやたらと届いていました。そのため、化学は他の科目と違って記事的にも少し長くなっています。
この記事では、例によって大学受験化学の勉強法やその注意点などについて簡単に解説していきたいと思います。
ぜひ参考にしてみてください!
目次(クリックでジャンプ)
化学は日常生活に役立つ科目です
まず最初に、皆さんの化学に対するモチベーションを上げるために、「化学がいかに役に立つか」というのを紹介したいと思います。
化学は、理系科目の中で、もっといえば受験科目の中で最も「日常生活に役に立つ」科目と言っていいと思います。
例えば、化学では酸や塩基などの知識を学ぶことができますが、これを知っていると「なんで酸性洗剤とアルカリ性洗剤を混ぜてはいけないのか?」がわかります。
混ぜたら危険、と書いてあるけど、「どうして混ぜたら危険なのか?」は化学を勉強しないとわかりません。
他にも、例えば「どうしてお肉をヨーグルトにつけておくと柔らかくなるのか?」といった料理の知識などもだいたい化学を勉強すれば理解できるようになります。
もっともっと極端な例を挙げるとすると、こんな漫画をご存知でしょうか?
主人公の少年は、超がつくほどの “科学博士” なのですが、なんとこの少年は人類が滅びてしまった世界で「石鹸」や「お酒」などを作ってしまうのです。
だから、もしあなたがしっかりと化学を勉強すれば、無人島に流れ着いたとしても生きていけるだけのチカラを手に入れることができるというわけです。
そんなこんなで、科学では覚えておくと普段の生活のためにとっても役に立つ知識が満載なので、ぜひ気合を入れて頑張ってみてください!
化学ってこういう科目!というのを紹介
それでは、化学の勉強法の前にまずは「化学ってこういう科目だよ!」というざっくりした紹介をしたいと思います。
これを知っているのと知らないのでは、これからの勉強法などに差が出てくるので、ぜひざっと読んで頭に入れておいてください!
理論・有機・無機の3つの領域に分かれる
まず、一番最初に知っておいて欲しいこと、それは受験化学は3つの分野に分かれるということです。
- 理論化学 … 計算や理論など
- 無機化学 … 物質の性質など
- 有機化学 … 構造決定など
これらの3つを合わせて、「化学」と読んでいます。
当たり前ですが、これらの分野は全てつながっています。
理論化学でやったことが無機化学の暗記で活きてきたり、有機化学を使って中和滴定などの問題が作られたりします。
なので、化学は割と「一度つまづいたら挽回しにくい」科目であると言えます。
そこで、受験生の皆さんにぜひやってほしいのが、「苦手を作らない」ことです。多くの教科でそうであるように、「全分野まんべんなく解ける」というのはかなりの強みになります。
特に、化学は高校1年生、2年性から取り組んでいる人も多いと思うので、習った範囲はしっかりと復習をするようにしてください!
受験化学は暗記がかなり重要になってくる
さて、いきなり始めの方で幻想を壊すようなことを言っておきますが、受験化学にとって「暗記」は非常に重要です。
特に、無機化学などではどうしても「暗記をしてください」としか言えないような部分も出てきてしまいます。
理系の受験生なら、暗記で点数が取れる科目というのはそう多くありません。なので、ここがチャンスとみてどしどし暗記しておいてください!
また、無機化学のような分野でなくても、理論の滴定の部分や有機の構造など暗記してしまった方が手取り早いところも多くあります。
理系だと暗記が苦手な人も多いようですが、化学は周期表などと照らし合わせて覚えれば楽になる事も多いのでぜひ自分で工夫してみてください!
基礎的な計算力が必要になってくる
化学という科目で意外と大切になってくるのは、「計算力」です。
数学などとは違ってせいぜい3桁と3桁の割り算、掛け算なのですが、慣れていないとかなりてこずります。
個人的な話ですが、僕は化学において一番の失点ポイントは「計算間違い」だと思っています。
小数点とかめんどくさいし、そのうち何を計算していつのかわけわからなくなってくるからです。
この計算間違いの対策としては、ありきたりですが、とにかく数を丁寧にこなしていくしかありません。
なので、めんどくさくても1問ずつしっかりと筆算を繰り返してみてください。
あとは、単位系などの変換なども慣れておくと便利です。ぜひ間違えずにできるようになるまで繰り返してください!
1番最初に、「化学は受験生が多い」と言いました。ざっと換算して、物理より1.5倍、生物の2倍近くの受験生がいます。
そのため、参考書などが豊富で勉強しやすいというメリットもあります。
理論化学の勉強法のポイント
それでは、いよいよそれぞれの分野の勉強法やワンポイントアドバイスなどをもう少しだけ詳しく解説していきたいと思います!
理論化学は受験化学の基礎
「化学」といえば、まず多くの人が思い浮かぶのが理論化学だと思います。一口に理論化学と言っても、以下のようにもう少し詳しく分類することができます。
- 熱化学
- 酸と塩基
- 酸化還元
- 電池・電気分解
- 気体
- 溶液
- 化学平衡
これらの問題は、どれも超重要です。
特に、酸と塩基なんかはどの大学の入試問題にもよく出てきますし、無機や有機を勉強する上でも大切な概念になってきます。
それ以外の分類でも、これから化学を勉強する上で下地となってくる知識ばかりです。
理論化学はいわば「土台」の部分にあたる問題も多いので、しっかりと1つ1つ理解を進めていくようにしましょう!
計算式で何をしているかを説明できるようにする
それでは、理論化学の勉強法についてですが、他の教科と変わらず、基本は「教科書の理解→問題を解く」という流れです。
どの教科でも基礎は大事なので、まずは(かなり) 簡単な問題からマスターしていくといいかもしれません。
他の教科と違う点で、注意したいポイントは、数式が一人歩きしてしまうというところです。
数学とちょっと似ているのですが、化学は計算をしていると、「あれ、今自分は何を求めてるんだっけ?」という事態に陥ってしまうことがよくあります。
なので、式を解くまえに「今、自分は密度を求めたいのだ」とか、「molの比をだしたいんだ」というように、求めたいものを心の中で復唱するようにしてください。
これをすると、さらさらと解き進めていけるのでおすすめです!
ちなみに、もう1つの手段としては、計算に単位をつけるというのもおすすめできる方法です。
単位をそれぞれ計算していけば、ミスがあったときにも気が付きやすくなるので一石二鳥です。
ぜひやってみてください!
周期表をマスターするのはマスト
理論化学と、それに無機化学の勉強を有利に進めるとっておきのポイントを紹介したいと思います。
それは、周期表をマスターすることです!
周期表は、ご存知の通り縦と横、それぞれに共通の特性があり、これを抑えておくとかなーり勉強しやすいです。
周期表を苦手としている人も多いかもしれませんが、覚えておくに越したことはありません。
絶対に正確に覚えなければいけないというわけでもないので、授業が始まる前に毎回チラッと目を通すなど、できる範囲でやってみてください。
また、それぞれの物質のモル質量などもざっくりと頭に入っていると、暗算だけでだいたいの答えを出せるようになります。
そういう「だいたいこうなりそうだな…」という予想を立てて問題を解いたりすることができれば効率よく暗記したり問題を解いたりできるようになるので、ぜひ試してみてください!
苦手な単元を作らないようにする
ちょっと前に言いましたが、化学は理論・無機・有機とわかれているものの、基礎の部分ではつながっています。
特に、ありがちなのが、有機や無機の問題に理論化学の計算(中和や酸化還元など) を組み合わせるスタイルです。
このように、理論の問題はどこからでも、どんな分野でも出題できるようになっています。
そのため、どこかに苦手があると必ずと言っていいいほど点数を失います。これは、かなりイタいです。
なので、できるだけ苦手な単元を作らないようにしてください!
もし、「中和滴定が苦手!」とか、「混合気体の問題が不安…」という人は、問題集などで苦手意識がなくなるまでどしどし問題を解きまくってください!
無機化学の勉強法のポイント
それでは、次に無機化学の勉強法のポイントについて解説していきます。
暗記がメインと思われがちですが、意外と理解が重要だったり、問題を解きながら知識を入れていくことが大切だったりします。
いろんなことを関連させて覚える
まず、無機化学の勉強で大切なこと、それは「関連させて覚える」ということです。
反応式などもそうですが、炎色反応の色やどういう保存方法をするべきかとか、なんかどうでもいいことを覚えさせられますよね?
そういうものを全部覚えるのはとってもタイヘンです。
では、どうすればいいかというと、「何かと関連させて覚える」ということをおすすめしています。
例えば、ナトリウムと水って反応させるとものすごい勢いよく反応して、爆発したりします。
こういうのは、YouTube とかで「ナトリウム 水」という風に検索すると、ヤバイ動画をアップロードしているのが見つかるので見てみるといいと思います。
また、同じアルカリ金属のマグネシウムも高温の水と反応して燃焼するのですが、こちらはカメラのフラッシュ(ストロボ) に使われていたりしました。
このように、無駄知識などと絡めて覚えていったりすると意外と楽しく知識を増やすことができます。
僕の場合は、先生がこういう雑学大好き人間だったのでいろんな話を聞かせてもらいました。
もし化学の授業が面白くないという人は、こういった「講義形式の参考書」を一度読んでみることをおすすめします!
語呂合わせをどしどし使おう
暗記の方法は他にもあります。僕が積極的に使っていたのは、「語呂合わせ」です。
僕は、英単語や古文単語は語呂合わせにめちゃめちゃ反対だったのですが、化学は法則性とかないし、単純にめんどくさいので語呂合わせを使っていました。
主なものは、下に書いたやつですかね。
- 水兵リーベ 僕の船 ナナマガールシップスクラークか(周期表)
- 貸そうかな まだあてにするな ひどすぎる借金 (イオン化傾向)
- リアカー無きK村 動力馬力借りんとするもくれない (炎色反応)
こういうのをさらっと言えるようになると、君ももう立派な受験生です。
無機は暗記ものが多いので、語呂合わせで済ませられるようなものはとっとと覚えてしまってください!
問題を解くことで記憶に定着させよう
もう1つ、無機化学に関して注意があるとすれば、それは「しっかりと問題を解く」ことです。
これは僕の失敗談なのですが、僕は高校3年生の夏までは無機は暗記だけだと思って全く問題を解いていませんでした。
その状態で過去問をやってみたのですが、理論と有機化学に比べて無機の点数は酷いものでした。ほとんど0点だったと記憶しています。
なぜそうなってしまったかといえば、それは、「問題を解き慣れていなかった」からでした。
いくら暗記してインプットができていても、それは「覚えた」だけです。テストで点数を取るには、しっかりとしたアウトプットができないといけません。
なので、「暗記だけすればいいや…」と思わず、しっかりと解答を作り力も養っておいてください。
具体的には、問題集の無機化学のところを飛ばしたりしないこと、あとは暗記問題もしっかりと紙に書いて解答することを心がけましょう。
自分では問題集が楽勝に解けているつもりでも、模試の点数が全然高くない、という人は解答の作り方がアヤシイかもしれません。
ある程度まで理解できていて点数が取れないのはもったいないので、ぜひ答えを書く練習もしてみてください!
有機化学の勉強法のポイント
それでは、最後に有機化学の勉強法のポイントについて説明していきます。
文系(化学基礎)の人 は、それほど扱わないという人も多いと思うので、そういう人はサッと読んでください!
構造決定などは暗記 + 慣れが必要
有機化学の花形といえば、やはり構造決定です。難関大学になってくると、ほとんど必ずと言っていいほど出題されます。
よく、「パズルのように解く」と言われるので誤解している人も多いかもしれませんが、そのパズルに必要なピースを計算で求めたりしなければいけないので、かなり大変な作業になります。
また、化学の問題は大抵の場合、時間が足りなくなることが多いです。特にこの構造決定は慣れていないとかなりの時間を取られてしまいます。
そのため、有機の構造決定には圧倒的に慣れが必要です。
僕は、全分野の問題集で有機化学を2冊やったあと、さらに過去問で有機の問題だけを10年分くらいかけてやりました。
それくらい、重点的に対策をしてもいいと思います。
併願で私立を受けるような人は、それらの問題もみておくととっても勉強になると思います。
センター試験では出題されないので、12月あたりは構造決定を勉強している時間がないかもしれませんが、可能な限り触れ続けておくことをおすすめしますよ!
時間がかかるかもしれないので要注意
これは主に進学校以外の人に向けて言いたいのですが、「有機化学は範囲の全部を学校でやってくれない」可能性があります。
特に、グルコースや生物系の話などは受験でも出題頻度が高いわけではないので、なあなあに終わらせがちです。
ただ、難関大になればなるほどそういった知識も必要になってきます。
なので、もし終わらないようであれば自分で勉強する必要があります。
注意して欲しいのは、それを11月や12月にやっていたのではもう間に合わないということです。
なので、自分の学校がしっかりと範囲を終えるかどうかを早めに見極めて、終わりそうにないなら早い段階から自分で勉強しておくといいでしょう。
特に、グルコースや消化酵素系の勉強はしておいて損はないと思います。
受験化学の勉強スケジュール
それでは、最後に「受験化学の勉強スケジュール」について紹介したいと思います。
ここで紹介するのはあくまで目安ですが、「この辺りまでに〇〇をしておいた方がいいよ!」というのを実体験とともに伝えていきたいと思います。
高校3年生の春までに理論は押さえたい
まず、高校1,2 年生でできることなら理論はかなり高い精度で身につけておきたいです。
というのも、化学が高校1年生から、物理や生物が高校2年生からという学校が多いからです。
このため、高校3年生の理系教科は物理や生物に時間を取られてしまいます。
また、理系の人は数学をしなければいけなかったり、文系の人はそれ以外にもやることはたくさんありますよね。
なので、化学はできるだけ早いうちに過去問を解けるような実力を身につけておきたいところです。
とはいえ、全部の範囲をマスターするというのは不可能なので、できれば理論を中心に押さえにいきたいところです。
やるべきこととしては、教科書の問題や、学校で配られるレベルの問題集を完璧に解けるようにしておいてください!
夏で無機までは絶対 & 有機に入りたい
理論を身につけたら、高校3年生の夏までには無機化学に取り組みたいところです。余裕のある人は、有機に入っておきましょう。
先ほども言いましたが、3年生の後期は問題演習や過去問にかなり時間を取られてしまうので、新しいことをやっている暇はなかなかありません。
なので、新しく覚えたりするものをなるべく減らしておきたいところです。
化学はスタートが早く、しかも無機・有機は暗記することが多いので早めにやっておいて損はありません。
おすすめの勉強法としては、理論と同じく教科書や簡単な問題をやっていきながら頭に知識を詰めていくといいでしょう。
また、物理よりも化学が得意な理系の人、化学を得点源にしたい人は東進ブックスの「1問1答 化学」など、暗記問題集のようなものに取り組んでみてもいいと思います。
無機や有機の暗記問題はセンター試験でも出題されるので、ぜひ夏あたりまでに押さえておきましょう!
秋までに最低1冊は問題集をやった方が良い
夏~秋にかけてやっておきたいもう1つのことは、「苦手を潰す」ことです。
多くの受験生は、秋くらいから問題演習に入りだすと思うのですが、その時にニガテな分野があると結構時間を取られます。
なので、苦手にしている部分がある人はそれを夏から秋にかけて徹底的になくすようにしてください。
具体的に苦手が分かっている人はその分野を勉強してみて欲しいです。
もし、苦手がわからない人は、ぜひ受験化学の問題集を1冊やり通してみることをおすすめします。
受験用の問題集は分野ごとに何問かずつまとまっていて、とても取り組みやすいです。
これを解いてみて、苦手なところを別の参考書で詰めたりしてくといいと思います。
目安としては、秋までに1冊どれかを終えていることが望ましいです!
センター試験1ヶ月前までに赤本に手をつけよう
受験生の多くは、センター試験を受けることになると思います。
そのための準備はとても大切なのですが、その前に、できるだけ「自分の志望校の過去問」にチャレンジして見てください!
それはなぜかというと、少しでも志望校の問題を見ておくことで、自分の勉強の方向を定めやすくなるからです。
センター試験は、準備に含めて1ヶ月以上取られてしまいます。そのため、その期間に過去問を通してやることは非常に難しくなります。
しかし、だからといってこの期間にセンター試験の問題だけをひたすら解いていると、せっかく養ったカンが衰えてしまいます。
そのため、センター試験1ヶ月前あたりは、
- 基本的にはセンター試験の問題を解いて、復習
- 少しだけ時間を作って、2次試験の対策を部分的にする
というのが基本的な戦略になっています。
これをやるにあたって大切なのが、「2次試験対策に何をしたらいいかがしっかりと分かっていること」なのです。
センター試験の対策を始める前に、過去問を2,3 年分といておくといいというのは、そのためなのです!
最後に:化学は人類の英知の結晶である
以上、化学の勉強法と、そのポイントでした。僕の経験談が交えてだったのでかなり長くなってしまいましたが、方針などは見えてきたでしょうか?
最初にも書きましたが、化学は生活に直結してくる科目です。人類の歴史は化学の歴史と言ってもいいくらい、生活に結びついています!
なので、化学を勉強するということは、もちろん受験勉強という目的もありますが、生きていく上で必要な知識を学ぶことにもつながります。
受験ではモチベーション維持も大切なので、そんな感じのテンションでぜひ乗り切って見てください!
質問などがあれば、どしどしお問い合わせください!